近年、日本では人手不足の解消やグローバル化の進展に伴い、外国人労働者の受け入れが増加しています。しかし、外国人労働者の雇用にあたっては、日本人労働者とは異なる法的課題や労務管理上のリスクが存在します。以下では、企業が押さえておくべき主要なポイントを整理します。
目次
1. 在留資格と就労制限の確認
外国人を雇用する場合、最も重要なのは在留資格の確認です。たとえば「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」など、在留資格ごとに従事できる業務内容が定められています。
在留資格に反する業務に従事させると、不法就労助長罪に問われる可能性があり、企業側にも刑事罰や行政処分が課されるリスクがあります。
2. 労働条件の明示とトラブル防止
外国人労働者との間でしばしば問題になるのが、労働条件の不一致です。
- 契約書が日本語のみで理解されていない
- 実際の労働時間や賃金が契約内容と異なる
- 社宅費や送迎費用の天引きが不透明
などのトラブルが発生しやすいです。
企業としては、外国語での契約書や説明資料を用意し、労働条件通知書を明確に交付することが望まれます。
3. 健康・安全管理の徹底
建設業や製造業などでは、言語の壁により安全教育が十分に伝わらないケースがあります。労働安全衛生法に基づく教育を多言語で実施し、 pictogram（ピクトグラム）や映像教材などを活用することで理解を促すことが必要です。
4. 差別やハラスメントへの対応
外国人労働者は、文化や言語の違いから孤立しやすく、職場での差別的取扱いやハラスメントが問題となることがあります。企業は就業規則やハラスメント防止規程の中で国籍・人種を理由とする差別の禁止を明文化し、研修などを通じて周知徹底することが求められます。
まとめ
外国人労働者を雇用する企業には、在留資格の適正管理、労働条件の明示、安全管理、差別防止といった多方面での配慮が必要です。適切な対応を怠れば、法的リスクや reputational risk（企業イメージの低下）にも直結します。
グローバル人材を戦力化するためには、法令遵守を前提に、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが不可欠です。