
目次
はじめに
売掛金や請負代金などの債権が回収できないことは、企業経営に直結する重大リスクです。資金繰りの悪化、キャッシュフローの不安定化は、場合によっては自社の経営危機につながりかねません。本記事では、企業が債権回収に取り組む際に押さえておくべき基本戦略を整理します。
1. 債権管理は「事前予防」が最重要
- 契約書の整備
支払期限、遅延損害金、保証条項を明確に定める。 - 与信調査の徹底
新規取引前に信用調査を行い、定期的にアップデートする。 - 担保・保証の確保
不動産担保や代表者保証を設定することで、万一のリスクを軽減。
2. 支払遅延時の初期対応
- 迅速な督促
支払期日を過ぎたらすぐに電話・メールで確認。 - 内容証明郵便の送付
取引先に対して強い心理的プレッシャーを与えると同時に、交渉の布石となる。 - 分割払い・和解の提案
相手に資金繰りの余地がある場合は、柔軟に条件を調整しながら回収を優先。
3. 法的手続の活用
- 支払督促
簡易かつ低コスト。相手が異議を出さなければ債務名義を取得可能。 - 少額訴訟・通常訴訟
金額規模に応じて選択。早期判決を狙う場合は少額訴訟を活用。 - 仮差押え・仮処分
訴訟提起前に相手の財産を確保する強力な手段。 - 強制執行
預金・売掛金・不動産などに対する差押えで実際の回収を図る。
4. 倒産リスクへの対応
- 早期察知
取引先の入金遅延・経営状況の悪化を早めにキャッチする。 - 債権届出の準備
破産・民事再生手続きに入った場合、期限内に必ず債権届出を行う。 - 担保権・保証の活用
一般債権者より優先して回収できるケースを見逃さない。
5. 社内体制の強化
- 債権管理システムの導入
請求・入金状況を一元管理し、滞納を即座に把握。 - 法務・経理・営業の連携
営業現場からの情報を早期に法務・経理に共有する仕組みづくり。 - 弁護士との連携
トラブル発生時に迅速に動けるよう、顧問弁護士や専門家との関係を構築しておく。
まとめ
債権回収は「事後対応」だけでは限界があり、契約段階の予防策と早期の初動対応が最も重要です。企業としては、与信管理・契約条項・担保設定を仕組みとして組み込み、トラブル時には法的手段を迅速に検討できる体制を整えることが求められます。
経営層にとっても、債権回収は単なる事務処理ではなく「企業の存続を左右するリスクマネジメント」であることを意識することが肝要です。







